カーボン・クレジットとその活用方法

2022年11月28日

パリ協定で定められた長期目標によって、昨今世界中の政府、企業がカーボンニュートラルを表明しています。日本政府が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中では、国内の炭素排出量を削減するために絶対的な排出量を削減することを大前提としています。またカーボンニュートラルを達成するための有効なツールとしてカーボン・クレジットの活用に注目が集まっています。カーボン・クレジット取引の活性化は、排出量削減への取組を加速すると想定されており、その実例として日本では2022年9月22日から東京証券取引所にてカーボン・クレジット(J-クレジット)取引の実証実験が開始されました。

本記事では、カーボン・クレジットの基本情報について記載いたします。

カーボン・クレジットとは

カーボン・クレジットとは、再生可能エネルギー(太陽光発電や風力など)の導入やエネルギー効率の良い機器の導入(=削減プロジェクト)、もしくは植林や間伐等の森林管理(=吸収プロジェクト)により実現できた温室効果ガス削減・吸収量を、決められた方法(=方法論)に従って定量化し取引可能な形態にしたものです。

クレジットは、レジストリと呼ばれる電子システム上の「口座」において、1t-CO2を1単位として管理されます。例外はありますが、多くの場合クレジットは認証機関によってプロジェクトの有用性が確認され、認証された場合に、認証機関が管理する「口座」に発行されます。

以下に世界的認証機関である米国NPO「Verra」の管理している民間認証クレジットであるVCS(Verified Carbon Standard)を例に認証フローを挙げておきます。

クレジットの種類と注目が集まるボランタリークレジット

カーボン・クレジットには政府主導で発行されるもの(コンプライアンス市場由来のクレジット)と、民間主導で発行されるもの(ボランタリークレジット)の2種類存在します。またCO2の削減方法等によりカテゴリーも多岐にわたり、クレジットの種類によって活用できる制度や用途が異なります。

以下のようにクレジットには大きく分けて回避除去系と固定吸収系が存在します。最近では削減が困難な産業部門からの排出量を相殺する等の理由から固定吸収系のクレジットが高く評価されています。

カーボン・クレジットの活用方法

主な利用方法としては、カーボン・オフセット、イニシアティブへの報告が挙げられます。注意が必要な点は、クレジットの特性により、利用できる場合とできない場合があります。例えば、Jクレジットはカーボン・オフセット、CDP、SBT、RE100での報告に利用可能です。しかし、ボランタリークレジットは現状企業の自主的なカーボン・オフセットに利用は可能ですが、CDP等の報告にてクレジットによるオフセット後の数値を報告することは基本的に認められておりません。ただし国際航空におけるイニシアティブであるCORSIAでは報告可能となっています。

まとめ

カーボン・クレジットの利用はカーボンニュートラルを目指す企業にとって有効な手段となりえますが、日本国内においてはまだまだ発行量が少なく、有効利用できている需要家も多くはないのが現状です。

その理由としてはクレジット制度も未整備であり、クレジットが利用しにくいことが一因と考えられます。日本ではJクレジット取引市場の実証実験が始まり、制度整備、利用しやすさの向上が期待されますが、カーボンニュートラルを実現しやすい社会を築いていくためにも、ボランタリークレジットについても制度整備、取引市場創設による利便性向上が期待されます。

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